バトルファミリア 第一話

○ゲーム店前・道
自動ドアが複数枚並ぶ、大型店舗。
入口隣の電子掲示板、『バトルファミリア大会・決勝戦』と書かれている。

○ゲーム店・イベント会場
竜宮翔(10)と速水風斗(10)、プレイヤー席でバトルフィールドを模したデスクマットを挟んで向き合う。二人の手には、それぞれ5枚程度のカード。プレイヤー席後ろに大型ディスプレイがある。『優勝賞品・フリザードラゴン』と書かれたカードイラストが投影されている。細身で威厳のある青いドラゴン。
ディスプレイ前に、司会者席がある。スーツ姿の司会が立っている。
満員の観客席の子供たち、二人を見守る。中に友人1と友人2の姿がある。

司会「バトルファミリア大会。決勝戦。日本実力ナンバー1とナンバー2同士の戦いとなりました。伝説のモンスター・フリザードラゴンを手にするのはどちらでしょうか」

司会、大型ディスプレイを指す。
風斗、無表情で手元のカード見下ろす。

司会の声「二人は従弟同士。実力ナンバー1は、速水風斗君」

翔、大型ディスプレイに表示された、フリザードラゴンを横目で伺う。

司会の声「実力ナンバー2、竜宮翔君」

翔、息を呑んで、バトルフィールド上に積まれたカードの山に手を伸ばす。

× × ×

観客席。友人1と友人2、手を合わせて祈って見守る。

友人1「翔、レイムドラゴンだ。レイムドラゴンを引け……」
友人2「翔様。レイムドラゴン様」
司会の声「戦況は互角。どちらが勝利しても不思議ではありません! 先に状況を動かすカードを引いた方が、圧倒的に有利!」

× × ×

プレイヤー席。翔、山から引いたカードを裏返す。カードに、『レイムドラゴン』のイラストが描かれている。『レイムドラゴン』、赤を基調としたデザイン。フリザードラゴンと対になるカードであり、シルエットが酷似している。

翔M「レイムドラゴン」

翔、驚きで目を見開く。
風斗、翔の顔を凝視している。